知らないと危険な販促品配布時の景品表示法について
■クローズド懸賞
販促品を配布するにあたって、キャンペーンを行おうと思っている企業もあるでしょう。キャンペーンの方法にはいくつかありますが、その中の一つにクローズド懸賞があります。そして、クローズド懸賞はさらに一般懸賞と共同懸賞に分類されます。懸賞に応募するためには、その企業の提供する商品を購入するなどの一定条件をクリアする必要があります。
一般懸賞とは、景品類を一定の条件を満たせばもらえるものです。具体的には、抽選に当選したりじゃんけんに勝利したりすることで景品がもらえる方法です。その他にも、クイズなどに正解すれば景品がもらえるスタイルの懸賞や、サービスを購入するとゲームに参加する権利が得られ、ゲームの結果次第で景品がもらえる方法も一般懸賞に分類されます。
共同懸賞とは、複数の事業者が共同で懸賞を行うスタイルです。例えば、商店街やショッピングモールが共同でキャンペーンを実施する方法、市町村など一定地域内の店舗で行うスタイルもあります。さらに同業者で行うキャンペーンもこれに含まれます。共同懸賞には制約があって、年3回、年間70日を上限として実施する必要があります。
また、商品やサービスを購入したすべての人に販促品を渡すキャンペーンを実施していることもあります。このような方法もクローズド懸賞の一種で、総付けやベタ付けなどと呼ばれています。
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■オープン懸賞
企業が行うキャンペーンの中には、オープン懸賞という手法があります。これは、広くキャンペーン応募者を募る方式で、抽選などで景品や商品を提供するキャンペーンになります。先ほど紹介したクローズド懸賞の場合、自社商品やサービスを購入した人が対象となり、誰でも参加できるわけではありませんでした。しかし、オープン懸賞は、商品やサービスを購入しなくても誰もが応募できるスタイルです。
オープン懸賞の具体的な事例としてイメージしやすいのは、テレビやラジオ番組で募集しているキャンペーンです。その番組を見ていた人であれば、基本的に誰でも応募できます。別に何か商品を購入しなければならない、資料請求しなければならないといった条件はありません。新規顧客を開拓するために、潜在顧客にアピールすることを目的として行うことが多いキャンペーンの方式です。はがきによる応募が一般的でしたが、最近ではインターネットも普及したこともあって、WEBサイトから申し込めるキャンペーンも増えてきています。
通常販促品を懸賞の形で配布する場合、景品表示法による規制の下で実施しなければなりません。しかしオープン懸賞の場合、抽選によって金品が提供される形をとっています。景品表示法における「景品」の定義は、取引に付随して提供される金品となります。オープン懸賞の場合、あくまでも抽選によるもので商取引を前提とはしていません。ですから、景品表示法における景品には該当しないという法解釈が成り立ち、景品に関する規制を受けずにキャンペーンできるわけです。
以前は、オープン懸賞によって提供できる金品の上限を1000万円とするという制約がありました。しかし2004年4月からはこの上限も撤廃されました。このため、高額な商品・商品を提供することも可能です。
■景品類で定められた上限額
上で紹介したものの中で、クローズド懸賞を選択する場合、景品表示法に注意する必要があります。こちらの法律では、どのスタイルでキャンペーンを実施するかによって渡せる景品の金額の上限が決まっています。
まず一般懸賞の場合、懸賞の対象になる取引価額によって上限が変わってきます。5,000円未満の場合、取引価額の20倍が上限となり、5,000円以上の場合は100,000円が上限となります。また、懸賞によって想定される売上総額の2%を上限とするという条件もありますので注意しましょう。
共同懸賞の場合、景品による取引価額による色分けはありません。景品類限度の最高額は、一律30万円が上限となっています。加えて、懸賞に関連する売上予定総額の3%が上限となりますので、予算編成の際に注意しましょう。
総付けの場合には、懸賞による取引価額による線引きがなされています。取引価額が1,000円未満の場合、渡すことのできる景品の最高額は200円となります。しかし、取引価額が1,000円以上になると、景品の最高額が取引価額の20%が上限となります。総付けは、商品やサービスを購入したり使用したりするすべての方を対象として販促品を配布するので、あらかじめ多くの人に渡すことが想定できます。あまり高額な景品を渡すことになると予算も大きくなりますので、法律にのっとって、安くてもお客さんに喜んでもらえそうな景品を探しましょう。
このように、懸賞にも種類がありますし、景品表示法によって景品の最高額や総額が決まっています。違反してしまうと何らかの調査や措置を取られることもありますので、まずはどのような懸賞をするのかを決め、事前にしっかりと確認するようにしましょう。